ネガティブ・キャンペーン 

   ベータカムの特徴の一つにCTDM (Copressed Time Domain Multiplex) がある。ところが当時のデバイスと技術ではBVW-20サイズのポータブル機にデジタル信号処理回路を搭載することは不可能であった。この一点をパナに突かれ、NAB等で大いにネガティブ・キャンペーンを張られた。曰くベータカムではポータブル機を作れない!そのキャンペーンをどうあっても打ち砕かなければベータカムの将来はなかった。

ゴム紐方式

   CCDをアナログ可変遅延線として使うことでCTDMを伸長すると同時に輝度信号のジッターと同期をとることにした。原理的には間違いなさそうであったが実働させるまでに結構時間が掛かった。NABへの出展は出荷ギリギリまで予定が立たなかった。一時は出展を内心諦めかけたが神のご加護か出荷間際に動作するようになった。IとOが頑張ったお陰である。

CCDに泣かされた

   CCDの歩留まりの悪さに泣かされ通しだった。ダイナミックレンジの狭さ、駆動ジャイアントパルスの不要輻射対策、温度特性の悪さなどなど。当初、歩留まりは10%程度だったと記憶している。幸いCCDは厚木で作ってくれていたし、半導体のSが良くやってくれた。感謝、感謝!

兎も角、敵のキャンペーンを払拭!

   ま、滑った転んだしながら製品として送り出すことができて、完璧にパナのネガティブ・キャンペーンを払拭でき、目出度し目出度しの結果となった。

又もパナの横槍!?

   報道のTBS(かってはそう言われていた)から、映像がフリーズして困るとのクレーム、ヤンヤの修理督促。局内のシステムの問題なので赤坂の局社へ赴くことにした。ところが当日は東名が大渋滞、海老名で遅れる旨の電話を入れたが、着いた時にはK氏はお冠!調べを進めて行くうちにパナのフレームシンクロナイザーの耐ジッター特性が脆弱なことが判った!うちではどうもこうも対応できない旨説得してパナの対応に下駄を預けた。

不要輻射

   最後の最後までCCDのジャイアントパルスの不要輻射に泣かされた。確か現湘北短大のキャンパスの一角にEMIサイトがあって、そこで計測中に思いもよらない対策を見つけることができたのである。判ってしまえばアホ見たい!取っ手がアンテナになっていたのでした。導体ループの縁を切ることで、バ~ッチリ決まったのでした。嬉しかったなぁ~!